萬田緑平さんの『穏やかな死に医療はいらない』(朝日新書:2013年)を読了しました。雑誌で萬田さんのことを知りました。萬田さんはがん患者さんを専門に外来診療・訪問診療を行う診療所を運営しています。終末を迎えたガン患者に穏やかに在宅で暮らしてもらう様、日々、業務に邁進されています。
私が読むきっかけになったのは、身内のガンです。勝ち目のないガン治療に抗がん剤を勧めるのだろうと僕自身、とても不思議でした。悶々と悩む中で、萬田さんの本に出合って目から鱗でした。
萬田さんも本の中で書いていますが、ガン治療の医師の判断は『治す』ということが主眼になっています。例え、根治の可能性が1%でも治療を勧めるそうです。ガン治療を諦めた人がその後、どのように過ごしているのか、どのように亡くなっているのか全く知らないそうです。
医師はどんな状況下でも治療を勧めるというのは本当です。私は職業的に知識がたまたまあったので、年齢や生存率、QOLの維持の観点で医師にがん治療の継続に疑義を唱えると、家族の意思を尊重してくれました。通常の人であれば、医師の勧め通りに、勝ち目のない戦いに挑むガン患者がものすごく多いことを萬田さんの本から知りました。
本を読んで分かったことは、死は怖くない。むしろ、如何に自分の意志で最後を迎えるかが大切だということ。本を読むまでは、病院や施設で亡くなることが私が考える死に場所でした。理由は家族に迷惑を掛けてはいけない・何かあった時に病院に入院していないと不安だというのが理由でした。本で紹介されていましたが、多くの末期ガン患者さんは認知症だったり、寝たきりでなければ、亡くなる数時間前まで元気に自分らしく過ごせることが出来ること。病院で最後を迎えるのは勝ち目のない戦いに挑んで体がボロボロになるから、病院ではいたたまれない死を迎えるケースが多いことを知りました。
職業柄もっと知っておくべきでした。良本です。おすすめですので、自分や家族の最後を考えたい人は是非。